減容化処理による天日乾燥への効果

実験条件について

底に穴をあけた80Lの容器を小型天日乾燥床とみたて、減容化処理を行っていない汚泥(原汚泥)と減容化処理を行った汚泥(減容化汚泥)を所定量張込み乾燥の程度を観察しました。また、小型天日乾燥床はそれぞれ屋外の屋根がない同程度に太陽光のあたる場所に設置しました。

試験期間

  • 試験期間:2017/9/22~11/10(50日間)
  • 降水量(期間内総量):660.5mm

小型天日乾燥床仕様

  • 底面に5点の小さな穴をあけ、ろ液の排出口としました。
  • 10L(高さ3cm)のろ過砂を支持層としました。
条件名概要
条件①原汚泥(濃度3.7%)50Lを1度に張込み
条件②減容化汚泥(濃度10.8%) 50L を1度に張込み
条件③原汚泥(濃度3.7%)150Lを複数回に分けて張込み

※減容化汚泥は原汚泥150Lを減容化処理し、50Lまで減容したものです。

減容化による効果

天日乾燥床の省スペース化

今回の原汚泥は、汚泥量(体積として)が1/3まで減容化できたので現場条件に当てはめると、例えば1日60m3の汚泥を天日乾燥床に張り込む現場の場合、減容化を行うことで張込み量を20m3まで抑えられます。

  • 天日乾燥床不足を解決
  • 乾燥工程により長い時間をかけられるため、含水率を下げられる
  • 張込み高さを低くできるので、乾燥しやすくなる

ろ過性能の向上(雨水が天日乾燥床に振り込んだとき)

原汚泥はクラックが多く入っているにも関わらず、雨水の抜けが悪い様子でしたが、減容化汚泥はクラックの数に関わらず雨水が良く抜けていることが確認できました。

クラックの本数に関わらず、水抜けがよく、降雨時や汚泥の張込み時も水分の抜けが良い

乾燥効率の向上

  • 減容化汚泥は、張込み20日後では最も含水率が低く、乾燥が素早く進行していることが確認できました。
  • 減容化汚泥はクラックの数は少ないものの、含水率が低い値となり、原汚泥(条件③)と比べ減容化乾燥が進んでいました。
条件名含水率 (20日後)含水率 (50日後)
条件①83%57%
条件②68%62%
条件③88%82%

※含水率測定に使用する汚泥は、汚泥の中心部分から採泥
※条件②の汚泥は150L分に相当

減容化した汚泥は、クラックは入りにくいものの、素早く乾燥し含水率が低いケーキになる。 (産廃の処分費が抑えられる・乾燥に割く時間を短くできる)

汚泥量の低減

張込み50日後(最終日)の汚泥高さの比較

条件名汚泥高さ
条件①3.5cm
条件②6.5cm
条件③11.5cm
  • 減容化汚泥は、条件③と処理量は同じですが、高さは約1/2程度でした。
  • 条件③は、下部にいくにつれ水分を多く含み、表面部分のみ乾燥が進んでいるようでしたが、減容化汚泥は全体に渡り乾燥が進んでいました。

張込み50日後(最終日)の汚泥量の比較

条件名汚泥重量
条件①4.9kg
条件②12kg
条件③29kg
  • 減容化汚泥は、含水率が下げられるため処理汚泥量が同量の条件③よりも重量が軽くなることが確認できました。
  • 減容化汚泥は、減容化処理により薬剤を追加していますが、最終的なケーキ重量は少なることがわかりました。